HAZMAT(危険物)倉庫とは

「HAZMAT(危険物)倉庫」とは、法律において「危険物」と定められている物品を保管するための倉庫です。

「危険物」と言えば、工業用薬品などをイメージしがちですが、人々が日常で使用する化粧品や香水・ヘアスプレーなども、その成分量に応じて「危険物」として扱われることがあります。また、新型コロナウィルスの流行によって、アルコール消毒液等の流通が増加しており、危険物の取り扱いに関するコンプライアンスの順守を求める動きが加速しています。

こうした産業界の動きに対応するべく、物流施設開発会社では、危険物を保管することができる物流施設の開発を進めており、危険物の専用倉庫を開発する動きも見られます。一方で、EC商材保管需要の著しい増加により、まとまった規模で危険物倉庫を建設できる土地、特に工業専用地域は多くないのが実情です。

化粧品イメージ(9654)

プロロジスのHAZMAT(危険物)倉庫開発

プロロジスがこれまでに開発した、HAZMAT倉庫併設の物流施設は15棟に上ります。

1社専用のBTS型物流施設への併設はもちろんのこと、マルチテナント型施設へのHAZMAT倉庫併設についてもノウハウを持っています。「HAZMAT倉庫」は、保管する物品によって仕様が変わりますが、あらかじめ引火性液体の性質を有する「第4類の危険物」を保管する想定で開発を進め、入居カスタマーが決まった後に必要な消火設備を付帯することで、マルチテナント型施設においても危険物の保管が可能になります。

プロロジスはこれからも、カスタマーの危険物保管ニーズに対応することができる施設開発を進めてまいります。

 

プロロジスのHAZMAT(危険物)倉庫-主な開発実績

HAZMAT(危険物)倉庫における様々な規制

出所:三和建設株式会社ウェブサイト

危険物倉庫で取り扱う商品
種別性質分類具体例指定数量
第1類酸化性固体塩素酸塩類・よう素・酸塩類など50kg
300kg
1,000kg
第2類可燃性固体鉄分・マグネシウムなど100kg
500kg
1,000kg
第3類自然発火性性質・禁水性物質ナトリウム・黄リンなど10kg
20、50kg
300kg
第4類引火性物質特殊引火物引火点:-20℃未満
ジエチルエーテル
第一石油類引火点:21℃未満
ガソリン・ベンゼンなど
200L
400L(水溶性)
第二石油類引火点:70℃未満
灯油・酢酸など
1,000L
2,000
L(水溶性)
第三石油類引火点:200℃未満
重油・グリセリンなど
2,000L
4,000L(水溶性)
第四石油類引火点:200℃以上
シリンダー油・ギヤ―油など
6,000L
動植物油類引火点:200℃以上
オリーブ油・ゴマ油など
10,000L
アルコール類アルコール含有率60%以上
メチルアルコールなど
400L
第5類事故反応性物質ニトロ化合物・ジアソ化合物など10kg
100kg
第6類酸化性液体過酸化水素・硝酸など300kg
 引火点によって第一石から第四石に分かれる。引火点250℃以上は非危険物。
アルコール類は引火点で定義せず、アルコール含有率60%以上。

 

危険物倉庫(屋内貯蔵所)が建設可能な土地
用途地域用途地域建設可否
① 市計画区域/市街化区域内の
用途地域別制限
第一種低層住居専用地域
第二種低層専用地域
第一種中高層住居専用地域
貯蔵できない
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
順住居地域
指定数量の5倍未満
近隣商業地域
商業地域
指定数量の10倍未満
準工業地域指定数量の50倍未満
工業地域
工業専用地域
貯蔵制限なし
② ①以外で建設可能な地域都市計画区域内の日線引き区域(市街化調整区域は所管行政庁への確認が必要)
都市計画区域外
臨港地区(建築基準法の用途地域の構築物制限は適用されない)
商港区・特殊物資工区・工業港区・保安港区・マリーナ港区・修景厚生港区がある
※保安港区以外は要注意

 

危険物倉庫(屋内貯蔵所)の構造&設備の基準
区分空地の幅
当該建築物の壁、柱、床が耐火構造である左欄に掲げる場合以外
建築種類区分
(抜粋)
平屋建て6m未満屋内貯蔵庫一般的な危険物倉庫
20m未満高層屋内貯蔵庫2種・4種のみ可能
指定倍数50倍以下特定屋内貯蔵庫屋内貯蔵所より
耐火要件が少ない
平屋以外2種・4類(3石4石)平屋以外屋内貯蔵庫多層階とすることもできる
建築物内設置指定数量20倍未満
※階高6m未満、
面積75㎥以下
建築物内貯蔵所工場建屋内に設ける場合等
一般的な危険物倉庫
(屋内貯蔵所)を
ベースに代表的な
制約基準
床面積1,000㎡を超えないこと。棟別ならOK
高さ軒高が6m未満であること
屋根天井は設けられない
(爆発がおきても、爆風が屋根を抜けていくようにするため:放爆構造)
傾斜をつけて溜枡が必要、引火点70未満は上記排出設備を設けること
避雷針指定数量10倍以上は必要
保安距離と
保有空地
保安距離

火災時などに付近の住宅、学校、病院の保安対象物に対して影響が及ばないように
離隔を設ける必要がある

  • 敷地外の住居:10m以上
  • 学校、病院、公会堂:30m以上
  • 重要文化財等:50m以上

⇒ 後に学校が経っても保安距離の離隔は求められる

保有空地

消防活動と延焼防止のために建物の周囲に空地を設ける必要がある
*壁・柱が耐火構造の場合

  • 指定数量5倍以下:保有空地 無し
  • 10倍以下:保有空地 1m以上
  • 20倍以下:保有空地 2m以上
  • 50倍以下:保有空地 3m以上
  • 200倍以下:保有空地 5m以上
  • 200倍以上:保有空地 10m以上

*1,000㎡の危険物倉庫に保有空地5mを加えると1,750㎡
*保有空地10mであれば約2,700㎡となる

 

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